2025/04/10 23:54

映画『侍タイムスリッパー』を見ました。自分史時代劇ベスト3! 別格は『雨月物語』だけれど、『壬生義士伝』『隠し剣鬼の爪』に並ぶ面白さ。和製マクラクランっぽい主人公の殺陣が結構格好いい。フィギアの殺陣に、リアルが混じる脚本が本当に面白い。
ところで本家のマクラクラン氏は、アメリカの典型を描く映画で、いつもいかがわしい役を請け負っている。表は品行方正なはずの田舎を描く『ブルーベルベット』表は華やかなショービジネスの世界を描く『ショーガール』表はソフィスティケイトされたNYを描く『セックス・アンド・ザ・シティ』。マクラクラン氏の役はいつもこの裏側を暴いてしまう。
話は戻って『侍タイムスリッパー』主人の公会津藩士高坂は、藩から密命を受ける。長男以外は生きがいを見つけにくい時代で、死ぬだろう命令も喜んで受ける。その一方『壬生義士伝』では家族のために不名誉を受け死んでいく武士が描かれる。(娘だけが明治まで生き残る) 他方『隠し剣鬼の爪』では不名誉を受けた身分制度のつらさが描かれる。明治になるときサムライの身分を捨てツメを隠し、愛に生きる武士が描かれている。
『壬生義士伝』『隠し剣鬼の爪』も「足軽出身の家」や「不名誉な家」など武士の身分でも低い階級の家の話だが、『侍タイムスリッパー』の主人公は長男でないので所属する家さえ覚束ない。主人公は作中で「役立つ人となりたかった」と言っている。密命では人を斬って役立つ人となるはずだったが、何の因果が人に斬られて役立つ人生を別次元でおくることになる。